「民主と人権」第9号

民権9号  2005.2.12
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 「憲法と人権問題シンポジウム」
   ー三氏の記念講演ー
 民主主義と人権を守る府民連合(略称・民権連)は、一月二十九日府立労働センターで「人権は守られていますかー憲法と人権問題シンポジウム」を開催しました。
 シンポジウムでは、石川元也弁護士、丹羽徹大阪経済法科大学教授、伊賀興一弁護士の三氏より、「憲法と人権問題」について、それぞれの立場から講演がおこなわれました。
 主催者あいさつに立った東延民権連委員長は、同和特別法失効後も大阪府は二〇〇四年度「同和問題解決に活用できる一般対策事例」として三十事業、四十五億円を予算化し、各市町に押しつけていること。大阪市では二〇〇三年度決算で判明したものだけでも百三十三億円が一般施策の中に組み込まれて、同和優先・特別扱いが続けられていることを指摘し、引き続き各市町でも実態を把握することが求められていることを強調しました。

 石川元也弁護士は、「人権と民主主義を守るたたかいー解同の暴力と利権追及の意義」と題して講演。矢田・八鹿・吹田二中など解同の暴力と利権、教育や行政への介入とのたたかいを歴史的に検証しました。そのたたかいが地対協意見書を動かし(一九八六年)、総務庁啓発推進指針(一九八七年)、法務省「確認・糾弾会について(通知)」(一九八九年)に反映させてきた経過を指摘しました。
 法的な問題ではかなり前進してきたが、社会的に多数になるためにどうしていくべきか、政治をどう変えていくか、まだまだ根強い解同タブーをいかに解消し
 二ページにつづく

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 ていくのか、このたたかいの社会的政治的意義を強調しました。
 つづいて丹羽徹大阪経済法科大学教授が、「人権を考える」と題して講演。
 人権の出発点は、人はそれぞれ違っているということにあり(個人主義)、この違いを大切にしなければならない。その違うことを認めないようにするのが国家権力であり、権利のための闘争は国家権力からの自由として出発したことを指摘しました。とりわけ、国家が介入してはならないことは個人の内心への介入であり、「嫌いなものは嫌い」「好きになれ」というのは間違いであるとのべました。そして国家や行政のあり方を決めるのは主権者国民であり個人の内心への介入を許さない、すべての人が人間らしい生活を送ることを保障させることなど今後の課題を提起しました。
 さいごに伊賀興一弁護士は「民権連に期待する」と題して講演。
 はじめに同和行政・同和教育の本質をどうとらえるか、行政は法律や条例をふみにじって無茶苦茶なことをした。関西の自治体予算を破綻まで追い込み、副読本「にんげん」は教育の自由を奪った。なぜこんなことが許されるのか。その理由は何か。行政が行政としてやってはならないことを同和行政という冠をつけるだけで誰も手出しが出きなくした。批判を許さないという位置を確保できたことにあると思っている。行政が市民に、「差別をなくすことに反対か」と言う。しかし何が差別か、どのように差別をなくすのか、といえば多様な意見があることはこれまでの解同裁判でいくつも勝ち取ってきたと指摘。さらに阪神大震災被災者支援のとりくみにもふれ、災害基本法の制定を求めないと生活者は切り捨てられることを強調。日本の行政の改革の先頭に立つ気概こそ、民権連に求められているとのべました。
 参加者の発言として、堀田文一府会議員は、同和から人権へ名前を変えただけで何も変わっていない行政の実態を把握していくこと。解同による解放会館の独占管理、相談員の名目で同じように給料をもらっている問題、二〇〇五年度に大阪府が予定している人権問題に関する府民意識調査の問題点について指摘しました。
 千秋昌弘大東市会議員は、一九九二年から二〇〇〇年の近藤民主市政の下で同和行政早期終結のとりくみを報告。その後、保守市政に変わったが、民主市政の流れは今もつづいている。しかし住宅入居の一般開放が実施されていない、家賃の滞納が今なお一億数千万円もある実態を報告しました。
 まとめの発言で、伊賀弁護士は、部落問題が今日、社会的な問題としては法律も終了したし、行政が特別な対象として見るようなものではない。しかし、同和行政・同和教育というものが四十年、日本社会の行政・教育の歪みをもたらしてきた。今それを一般化しようとしているところを見逃してはならない気がするとのべました。
 丹羽教授は、教育基本法の改悪問題、基本的な枠組みはもう作られています。数年前「心のノート」という本がいきなり学校現場に持ち込まれ、国家権力が国民の内容に係わってくる典型的な例になっており、子どもたちに押しつけようとしています。教育基本法が改悪されるとそれが正当化され、憲法の改悪がおこなわれるとそれにお墨付きを与えることになってゆきます。たいへん憂慮すべき事態が学校現場ですすんでいるとのべました。
 最後に石川弁護士が、同和を人権に置きかえて、中身が同じことがやられている。これをみんなで批判していかなければならない。民権連として、多くの専門的なメンバーと協力関係を作りながら運動の質と内容、幅を広げてゆくのを期待していきたいとのべました。 
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 二〇〇五年二月四日
「大阪府における同和問題解決に向けた
           実態把握について」の申し入れ
知事 太田房江 様
           民主主義と人権を守る府民連合 委員長 東 延

 今年度大阪府が予定している「人権問題に関する意識調査」「行政データーを活用した実態把握」「相談事業を通じた実態把握」について以下申し入れる。

 一、「人権問題に関する
  府民意識調査」
(一)調査目的が「府民意識の変化、動向を把握することにより」、「大阪府の今後の人権教育・啓発施策の効果的な取り組みのための基礎資料を得る。」として、「啓発・教育」施策の枠内に人権問題を限定している。これは、「教育・啓発」の主体が大阪府であり、客体が府民であるとする逆立ちした立場にたつものである。「教育・啓発」の主体はあくまでも府民にあり、行政が果たすべき役割は府民の自主的な学習活動を保障するための条件整備に限定すべきである。
(二)調査体制
@「人権意識調査検討会」
これまでの人選は特定の立場にたったきわめて偏ったものであった。学識経験者の人選に当たっては、公正・公平な人選を行うこと。民権連推薦の学識経験者を入れること。事務局はどこに置くのか明らかにすること。
A 調査対象
調査対象の抽出は合理的か。いかなる作為も働かない抽出方法になっているのか。調査対象は大阪府が決めるのか、各自治体で決めるのか。「同和枠」はないか。
B 調査方法
郵送による調査と思われるが、過度の督促による強制は行わないこと。無回答も意志の反映であることを尊重すること。
C 調査項目の検討
 (案)の段階で調査票を公開し、府民の意見を聞くこと。二〇〇〇年調査にみられた「同和地区や同和地区住民」「同和地区出身者」「被差別部落」等の表現を用いた調査は行わないこと。
D 調査結果の分析
 調査の委託先は入札で選定すること。調査分析にあたっては、その結果を公表する前に必ず中間報告を行い、府民の声を聞く場を設けること。
 二、「行政データーを
  活用した実態把握」
@目的及び対象地域
「一般施策による取組みの効果を検証する」とあるが、対象地域を「府と市町が共同で平成十二年度に実施した同和問題の解決に向けた実態等調査の対象とした地域」としてどのように検証するのか。なぜ特定の地域だけを選んでおこなうのか。調査をおこなうとすれば、行政区全体(例えば小学校区単位、中学校区単位)を対象とすべきではないのか。
A実施項目
どのような行政データーを使うのか明らかにすること。(案)の段階で府民に調査票を公開し意見を聞く機会を設けること。
B集計結果のとりまとめ
意識調査同様、委託先の公正な選定、中間報告の実施など府民に開かれたとりまとめを行うこと。
 三、「相談事業を通じた
  実態把握」
この実態把握はいかなる機関でおこなうのか。それが大阪府人権協会及び地域人権協会等による実態把握であれば、その客観性・信憑性に疑義が生じる。客観性・信憑性がいかに確保されるのか。とりまとめにあたっては、公正な委託先の選定及び人選を行うこと。中間報告を必ず実施するなど府民に開かれた手法で行うこと。

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 「同和問題解決に活用できる
一般施策事例」を分析すると(下)

 十五、障害者ピアカウンセラー現任研修事業 府単独
★これがなぜ「同和問題解決に活用できる一般施策事例」か。
十六、障害者ピアカウンセラー派遣事業 全額国庫
〔緊急地域雇用創出特別基金事業 平十四〜十六〕
★これもなぜ「同和問題解決に活用できる一般施策事例」か。
十七、障害者ケアマネジメント体制支援事業
 国1/2 府1/2
★これもなぜ「同和問題解決に活用できる一般施策事例」か。
十八、障害者デイサービス事業  国1/2
 府1/4 市町村1/4
★これもなぜ「同和問題解

決に活用できる一般施策事例」か。
十九、地域交流事業(地域サロン)
  国1/2 府1/2
六〇〇万円のうち三〇〇万円を府総福協会に委託し、一〇か所で事業実施。
★解同の事業への補助金。一〇か所とはいったい何処か。
二十、ケアマネジメントリーダー養成研修事業
 国1/2 府1/4
市町村1/4(平十五〜)
★これもなぜ「同和問題解決に活用できる一般施策事例」か。
二十一、高齢者引きこもり対策事業 府単独
★これも何故「同和問題解決に活用できる一般施策事

例」か。
二十二、高齢者住宅等安心確保事業  府単独
★十六年度は、十三市町で実施、予算二十六億四百十九万八千円となっているが、何をする事業なのか。
二十三、地域子育て支援センター事業  国1/3
 府1/3 市町村1/3
★大阪市、堺市、高槻市を除く二十九市七町で実施予定(平成十六年度)となっている。すべての地域で実施すべき事業である。
二十四、仕事と家庭両立支援特別援助事業 
 国1/2 市町村1/2
★「ファミリーサポートセンター」を設立し、会員の地域での育児相互援助活動を支援するとなっているが、内容がよく分からない。
二十五、生活保護受給者自立促進支援事業   府単独
★大阪府総合福祉協会への委託事業であり、解同への補助事業である。
二十六、地域就労支援事業  府1/2 市町村1/2
障害者、母子家庭の母、中高年齢者等への雇用・就労支援を実施する市町村に補助。府内全四十四市町村で実施。
★充実させるべき事業だが、現実にどのような成果があがっているのか。当然に一般施策であって、「同和問題解決に活用できる一般施策事例」には当たらない。
二十七、住民参加型まちづくり促進事業 府単独
★事業内容が不明確。どこでどんな事業を行っているのか。
二十八、進路選択支援(奨学金活用)事業  府単独
@生徒の職業観・勤労観の育成
 全市町村対象の事業である。
A地域における生徒の自立・自覚の促進事業
 府人権協会に補助
★解同の実施する高校生・大学生講座等に対する補助事業である。
二十九、要支援生徒に係る進路選択支援モデル事業  府単独
★特別対策を実施してきた自治体に、独自で類似の事業実施の自治体を付け加えただけのもの。
三十、成人教育振興費
 (識字推進事業) 府単独
★識字センター事業(非常勤一名配置)として八百六十二万三千円を補助。
 解同・府人権協会及びそれにつながる団体への大阪府による補助。特定団体のイデオロギーで私物化。  (五ページにつづく)

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 同和問題解決に活用できる一般施策事例の平成十六年度予算額(千円)
 (別に掲載)

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  人権を考える ーいわゆる人権「新しい」人権、改憲論ー
        丹 羽 徹(大阪経済法科大学教授)B
 ちょっと余談になるのですが、私、最近非常におもしろい本を見つけてきたところです。こういう本をご存じですか、「民営化される戦争」て、これすごいおもしろいんですよ。本山佳彦という京大の国際経済論の先生なんですよ。文民統制てご存じですか、軍人は暴走するので軍人じゃない人がちゃんとそれに歯止めをかけるために少なくとも軍隊のトップは軍人であってはならないというのがありましてね。あるいは逆に軍人が軍事組織いがいの政府の中枢にいてはいけないとかね。それがいまは逆で、軍人のほうが戦争をよく知っているので現場にいた軍人のほうが戦争をやめさせようと、戦争に対して忌避的になっていると、逆に現場を知らないやつが戦争を進めているというのが一つの問題だということをいってるのと、もう一つは元軍人が民間企業のコンサルタントとか技術指導者としてやたら入ってる。したがってその人たちは軍隊とコネクションがあるわけなんですね、そのために民間企業がその人たちを雇ってるのと。もう一つはテロリストがなぜ民間企業を狙うのかということについて、よく考えてみると、今の軍事技術というのは高度化しすぎていて、軍人がその機械を操作することができなくて企業の技術者の方がうまいこと操作できるんですよね。例えば武器の整備とかを軍隊が自前でするよりも全部外注しちゃったほうがいいんです。そういうので、軍隊の様々な技術とかなんかを全部民間企業に丸投げしている、結局そこが戦争をしている。どういうことがあるかというと、ここがシナリオを作って様々なことをおこなわせるわけです、CIAとかと組んでね。イラク、クエートでの第一次湾岸戦争とか第二次湾岸戦争とか、あれはCIAとアメリカの軍需産業が手を結んでシナリオを書いて、こういうふうにすればサダムフセインはこういう行動をすると、計算の上でちゃんとやらせてるんですよね。そういうことが現実におきている、そういう話しが書いてあるんで。国際政治ってこうやって動いているのが裏の世界からよくわかって非常におもしろいんです。ジャーナリストとかが書いてるんでなくて研究者が実証的に書いてるんでそれだけに説得力があるんです。読んでもらうとおもしろいんです。これ中西屋出版です。
 自民党は、今のような政治状況になって、今年は五〇周年だということで、憲法改正は五〇周年めざすということをやっている。つい最近ですよね、憲法改正の骨子みたいのを出しましたよね。それから、マッチポンプみたいな関係で読売新聞が自分のところが改憲論の中心部隊になるんだと、たぶん渡辺恒雄の意気込みだと思うんですけど、巨人軍のオーナーはやめたけど、読売新聞の社主であることに変わりがないし、読売新聞が改憲案を出してきている。
 読売新聞の社内で記事が書きにくいという話しです。全部チェックされて、社の方針に反するものは全部はねられるそうです。記事を書いても、そういうことが現実におこなわれている。昔もう少しまともな、昔、産経新聞まともな記事を見るんですけど。憲法会議の集会が朝日とか毎日に載らず産経だけに載ったことがありますから。現場の記者にしめつけがある。それだけじゃなくて、当然、自民党は公明党と一緒にいまの状況だと改正案を提出することになるでしょうから政府として。公明党もそうだし、民主党も一部がたしかに改憲に慎重派はいますが、自民党よりも、積極的に改憲論を押し進めている人たちがいる。旧民社党の人たちがもともと自民党よりももっと右だと言われていましたから。
   次号へつづく

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  民権連運動の前進へ新たな決意の場
  各地で「新春のつどい」レセプションを開催
  民 権 連
 民主主義と人権を守る府民連合(略称・民権連)は一月十五日、二〇〇五年“新春のつどい”を民権連事務所にて開催しました。 つどいでは、部落解放運動で培われた経験を発展させ、府民全体を視野に入れた旺盛な民権連運動を展開してゆくことを確認しあいました。
 東延委員長は、憲法と教育基本法を守り、行政による「人権」の名による人権侵害を許さず、府民のいのちと暮らしを守るあたりまえの行政を求める運動を前進させようと強調するとともに、民権連結成後はじめの「憲法と人権問題シンポジウム」成功へ全力をあげてとりくもうと訴えました。
 乾杯のあと、地域に根ざしたとりくみで多くの住民が参加し利用している長瀬支部の宅老所「和氣愛々」や浪速支部のヘルパーステーション「とまと」など各支部がとりくみを報告、恒例のカラオケで和やかに交流しました。  

 長 瀬 支 部
 民主主義と人権を守る府民連合長瀬支部(略称・民権連長瀬支部)は一月二十二日、長瀬人権文化センターにおいて「民権連長瀬支部創立記念レセプション」を開催、一九六二年(S三十七年)六月に部落解放運動を蛇草の地ではじめて四十三年余の間、困難ななかでも運動を支えていただいた、元蛇草病院院長田中あや子先生、元蛇草会館職員の難波俊彦さん、元蛇草保育所保母の野間暎子さん、元長瀬北小の小宮芳彦教諭、元日本共産党東部地区北川善一委員長など多彩な来賓、運動の分裂や「窓口一本化」に負けず部落問題解決のため全解連に残り奮闘している会員さんら百三十余名の方々が参加されました。
 記念レセプションは同窓会的な雰囲気と部落解放運動を卒業する喜びと新たな運動の前進へむけての決意の場となりました。
 婦人の「世界で一番大きな花は」の歌声、天馬鈴若とその一味による河内音頭と勇壮な太鼓演奏、ひとことひとこと想いをかみしめたあいさつ、そして前日から準備した手料理にみんなの笑顔は輝いていました。

 箕 面 支 部
 民主主義と人権を守る府民連合箕面支部(略称・民権連箕面支部)は一月二十一日、桜ヶ丘ヒューマンズプラザにおいて「新春のつどい」を開催、幅広い住民に依拠し、民権連の四つの目的の達成と運動の発展めざし、交流と親睦を深めるとともに新たな決意を固めあいました。