2005,11,15

民主と人権 18号

18−1
 大阪市長選挙
姫野 浄さん勝利へ全力を
 ひめのきよし   東 延委員長が訴え

 関前市長は、ヤミ年金、退職金を自身が受け取っていたこと、第三セクター事業の破綻、一民間病院である芦原病院に一三〇億円もの貸し付けなど異常な財政支出に市民の批判が高まる中、一〇月一七日、突然辞任しました。
 責任をとって辞任するのは当然のことですが、再出馬し、再選されれば、「市政改革」をと言い出しました。再選されたからと言って、財政破綻に陥れた責任は免れるものではありません。あまりにも身勝手で市民を馬鹿にした話です。 しかも「改革」(マニフェスト)で掲げている中身は、大阪市政に民間大企業のリストラ的手法を導入し、市民サービスをばっさり削り、さらに市民負担を増やし、財政破綻の原因となっている大型開発はそのまま続行し、逆差別をつくりだしている同和行政の是正にはほとんどふれていません。
 また辞任当初は、政党に支援は受けないと言っておきながら早々と自民・公明両党に推薦を求め、民主党には「選挙後に協力をお願いする」とオール与党体制を維持することを表明しています。
 今日の市政の破綻状況は、日本共産党をのぞくオール与党体制の下でつくりだされたもので、これでは市政改革などできるはずがありません。結局、職員の削減や市民負担をふやすことだけです。
 とりわけ、同和行政は、芦原病院の見直しにふれていますが、具体的な中味はありません。これは不公正な同和行政に対する市民の批判の高まりが大きくなっているからです。
 いま、大阪市は、同和の特別法がなくなったにも関わらず、毎年一三〇億円もの予算を支出しています。それも、解同そのものである人権協会への補助金が一億五千八百七十八万五千円(〇四年度)事業委託が約四〇億円、市内一二地区にある人権文化センターの職員、青少年会館の指導員など職員配置の問題等課題が山積みです。これらは、解同一部幹部の利権特権であり、同和問題の解決に逆行するもので、一日も早く是正するよう、民権連(全解連)や日本共産党が一貫して求めていたものです。
 しかし、関氏を始め、オール与党体制はこうした声を無視して異常な財政支出を続けてきたのです。オール与党体制で改革できるはずがありません。
 この問題を解決するには、不公正な同和行政の是正を求めて、議会内外でどんな暴力にもたじろがずたたかってきた日本共産党以外にありません。
 とりわけ、姫野浄さんは、市会議員を三〇数年にわたって続けてこられ、体をはってたたかってきた人です。姫野浄さん勝利のために全力をあげて取り組む決意です。

18−2
 関 氏マ ニ フ エ スト
「市政改革」強くアピール
  自民党市議団、選挙後に注文 

 関淳一・前大阪市長が二日に発表した市長選挙のマニフエスト要旨には、市長在任中にまとめた市政改革基本方針案にはなかった、地下鉄八号線の延伸の凍結や部落解放同盟に対する優遇措置の見直しが盛り込まれた。市政改革をより強くアピールする狙いがありそうだが、地下鉄延伸はあくまで「凍結」で「中止とは書いていない」(関氏)。どこまで公共事業の削減につながるかわからない。
 市政改革案は公共事業の千百億円削減を打ち出したが、具体的な見直し対象には触れていない。関氏が初めて例示した地下鉄八号線は、市東部の東淀川区から東住吉区までの十八・六キロを結ぶ。北側の十一・九キロは〇六年度中の開業を目指して工事中。その後、十年間に千三百十四億円をかけて南へ伸ばす計画だ。
 しかし、市営地下鉄の一日平均の乗客は九〇年度の二百八十一万人をピークに、〇四年までに約五十万人も減った。都心から外れた八号線は、地元の要望は強いが、赤字が見込まれている。
 関氏は会見で、「これまで(の公共事業)は計画ありきで、だあーっと決めた。本当に採算がとれるのか、立ち止まって検討するのが正解だ」と、凍結の理由を説明。「大阪市のインフラはだいたいできている。後は維持管理に主体にした方がいい」とも語った。
 自民党市議団からは早速、反発の声があがり、「選挙後に注文をつける」(大丸昭典幹事長)。関氏が再選を果たしても、実際の「凍結」や事業予測の見直しを巡って、激しい綱引きが予想される。
 一方、人権行政見直しの具体策として打ち出したのが、市内に十三館ある人権文化センターの「団体事務所利用の正常化」。部落解放同盟の府連支部が九館に通常の賃料の二分の一で入居している。
 もともとは地域住民の自立支援の拠点という位置づけだったが、〇二年三月の地域改善対策財政特別措置法(地対財特法)失効後、特定団体への便宜供与として問題視する意見が市議会で出ていた。関氏は会見で「市民の目から見て、納得
のいく形にすべきだ」と述べ、移転も視野に見直しを徹底する考えを強調した。
(十一月三日付け朝日新聞より掲載) 線部分は、当編集部にて引かせていただきました。

 姫 野 浄 大阪市長候補
 「マニフエスト案」を厳しく批判

 大阪市は今、五兆六千億円の借金を抱えています。いつどのようにできたのかというと、九〇年代から十年間に、大型開発が異常に増えた。九〇年には八千億円だった一般会計の市債発行残高は二〇〇〇年に二兆三千億円に増えている。中身はむだな公共事業です。これを、まだ続けている。
 芦原病院の貸付金の焦げ付きは不公正な同和行政の結果です。
 財政を立て直そうと思ったら、むだな公共事業や「同和」予算をストップさせなければ無理です。ところが関さんはやめるといわない。
 「マニフエスト案」にも書いていない。これでどうして財政再建できるのか。むだな同和予算、大型開発にメスが入れられるのは、財界や部落解放同盟と無縁の私しかいません。

 鳥取県人権条例手直しを
 日弁連会長が声明発表

 日本弁護士連合会(梶谷剛会長)は二日、鳥取県議会が先月制定した「県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」について、「抜本的手直し」を求める会長声明を発表しました。
 声明は@救済機関の行政からの独立性が不十分A人権侵害の概念があいまいB公権力による人権侵害に対する救済が不十分、などと指摘しています。

18−3
 市民本位の大阪市政実現へ元気あふれる決起集会
 姫 野 浄候補、市民への熱い思いを語る

 大阪市長選挙(十三日告示、二十七日投開票)を直前にした八日、「大阪市をよくする会」が主催する「市長選挙勝利 市民大集合 浄この夜のつどい」が中之島公会堂で開かれ、会場いっぱいの約千六百五十人が参加しました。
 客席から市長候補の姫野浄さんが姿を現すと、われるような拍手と歓声、「きよしコール」がわきおこります。
 姫野さんは、選挙戦は「住民の福祉を増進させる本来の地方自治をとり戻すのか、市民サービスをトコトン切り捨て大型開発野放しの方向に行くのか」の選択だとし、「市民と市政について大いに議論し、市民の声にしっかり耳を傾けて市民本位の市政をよみがえらせたい」と市民への熱い思いをこめて力強く語りました。
 前大阪城天守閣館長の渡辺武さん、鰻谷商店会協同組合参与の荻野輝幸さん、元参議院議員の山下よしきさんらが、姫野さんの人柄や、ともにたたかう決意を訴えました。
 「きよしと市民とのトーク」でも姫野さんのやさしくあたたかい人柄が浮き彫りになり候補者がより身近に感じることができました。まさに市民大集合で参加者が一体となり、姫野浄市長実現へ元気あふれ、決意あふれる集会となりました。

 ゆがんだ市政立て直す最適の人
姫 野 浄さんを何としても勝たせよう

 「大阪市をよくする会」が推薦する日本共産党前大阪市議会議員団長の姫野浄さんが立候補する大阪市長選挙(十三日告示、二十七日投票)に向け、「大阪市をよくする西成連絡会」は九日、梅南集会所で「新しい市長で新しい大阪を、姫野きよし勝利」西成区決起集会を開催、会場いっぱいの百四十人が参加しました。
 @敬老パスの実態と高齢者の願い(年金者組合)A新婚家庭家賃補助制度をなくさないで(青年)Bいきいき補助カット、幼稚園補助カットしないで(保育連)C一民間の芦原病院(同和の名でいまも補助金・貸付金が渡され、返済の請求もされない)オール与党体制を批判(民権連)Dゴミ収集の有料化(新婦人)と、各団体は身近な要求を姫野さんとともに実現へ、何としても市長選勝利をとの決意をのべました。
 最後に、市長候補の姫野浄さんが割れるような拍手のなかを登壇し、住民本意の市政づくりの決意を表明。花束と参加者が旗に“姫野浄勝利”と名前を書き込んだ激励の寄せ書きが贈られました。

18−4
 二〇〇五年度大阪府知事への要求書 

 一、自治体の責任を放棄し、府民・職員に際限なく痛みを押しつける「大阪府行財政計画」を撤回し、府民にあたたかい府政を推進すること。
@府民のいのちや暮らしを守ることが府政の根幹であることを明言し、具体化すること。
A関空二期工事をはじめムダな大型公共事業を取り止めること。
B府立五病院の独立法人化を止め、府民のいのちと健康を守ること。
C指定管理者制度で府民の財産を民間企業に提供しないこと。
D乳幼児医療費の一部負担を撤回すること。
E府立高校授業料の減免制度の改悪をおこなわないこと。
F府立高校のエアコン使用料の徴収を取り止めること。
G生活保護世帯に対する一時金カットを止めること。
H介護保険制度改悪にともなう利用者・事業者の負担増に対する助成をおこなうこと。
I府営住宅の家賃の値上げをおこなわないこと。
J青年の就職難に対して具体的施策を講じること。
K「人権擁護法案」に反対する態度を明確にすること。
二、特別行政を完全に終結すること。
@特別施策の対象としての「同和地区」「同和地区出身者」は存在しないことを確認すること。その上に立って、十月府議会での知事答弁を撤回すること。
A府審議会答申(二〇〇一年九月)関わって以下の点を明らかにすること。
ア、同和問題は「深刻かつ重要な課題」とあるがいまもこの認識でいるのか。
イ、「同和問題が解決可能であるという具体的展望を示すことが重要である」とあるが、具体的展望とは何か、どうすれば実現するのか、そのためにおこなってきた大阪府の具体的施策は。
ウ、地区施設は「幅広く地域住民に利用され」とあるが、そのためにおこなってきた具体的な施策は。
エ、部落差別は、「同和地区とその周辺地域が一体となったコミュニティの形成を図ることにより解消し得るものである」とある。そのためには特別扱いをやめ、住民間に対等・平等の関係を構築することが前提であると考えるが、大阪府の考えはどうか。
オ、コミュニティ形成のためにおこなうべき行政の課題を具体的に明らかにすること。
カ、「さまざまな課題を有する人びとの来住の結果、同和地区に現れる課題は、現代社会が抱えるさまざまな課題と共通しており、それらが同和地区に集中的に現れているとみることができる」ということは、同和問題解消の事実を示しているのではないのか。また「集中的に現れている」ことは実証されたのか、他の地域にはないのか。
キ、国は「一般対策とは、同和地区・同和関係者に対象を限定しない通常施策のこと」といっているが大阪府も同じ認識か。
ク、国は「地方単独事業のさらなる見直しが強く望まれる」ことを求めたが、大阪府はどのように具体化したのか。
ケ、国は「人口移動が激しい状況の中で、同和地区・同和関係者に対象を限定した施策を続けることは実務上困難」というが、大阪府は実務上可能と考えているのか。
コ、府答申は、「個人給付的事業、物的事業の終了」を打ち出したが、なぜ団体補助金、事業補助金の終了をおこなわなかったのか。
B一般施策の名による特別対策事業をすべて廃止すること。
C「同和問題解決に活用できる一般施策事例」のマヤカシを撤回し、すべての施策を文字通り一般施策として実施すること。
D「行政データを活用した実態把握」「相談活動を通じた実態把握」を取り止めること。
E公共施設内にある解同事務所を撤去させること。
F住宅入居は一般公募とし、「人権協会」への委託をおこなわないこと。
G解同および解同系団体への補助金・事業補助金を全廃すること。
H大阪府同和問題解決推進審議会を解散させること。

18−5
 四ページよりつづき
I「府人権協会」「地域人権協会」を解散させること。

三、行政による「人権教育・啓発」をおこなわないこと。
@部落問題解決とはいかなる状況を作り出すことか、そのために行政の果たすべき役割は何かを明らかにすること。
A行政の価値観を府民に押しつける「教育・啓発」をおこなわないこと。
B「人権問題に関する府民意識調査」に対する我々の質問に誠実に答えること。
C「府民意識調査」の基礎データを府民に公表すること。
D検討委員との面談をセットすること。
E「同和地区住民」「同和地区出身者」の認定・判定の基準を明らかにすること。
F「差別事象マニュアル」を廃止すること。
G「差別発言とは総合的に判断するもの」「発言者の真意を考慮すべき」という回答を今後とも堅持すること。
H「確認・糾弾」行為、エセ同和行為を社会的に排除すること。
I「大阪府人権尊重の社会づくり条例」「大阪府人権施策推進基本方針」を廃止すること。
J大阪府人権施策審議会に委員を入れること。

  二〇〇五年度大阪府教育委員会への要求書

 一、日本国憲法と教育基本法にもとづく民主的な教育行政の推進をはかること。
@ 「(教育行政)教育は、  不当な支配に服すること なく、国民全体に対し直 接に責任を負って行われ るべきものである。
  教育行政は、この自覚 のもとに、教育の目的を 遂行するに必要な諸条件 の整備確立を目標として 行われなければならな  い」とした教育基本法第 十条を厳格に遵守して教 育行政の推進にあたるこ と。
A 府独自に三〇人学級の 実現をはかること。
B 府立高校の再編整備計 画を撤回し、希望者全員 の入学を保障すること。
C 夜間定時制高校への希 望者全員の入学を保障す ること。
D 府立高校授業料減免制 度改悪計画を撤回するこ と。
E 日本一高い高校授業料 を引き下げるとともに、 エアコン使用料の徴収を 止めること。
F 私学助成の充実をはか ること。
G 安全な教育環境の整備 をはかること。
H 憲法の保障する「内心 の自由」を侵害する「君 が代・日の丸」の押しつ けをおこなわないこと。
I 教育費の国庫負担制度 の維持を国にはたらきか けること。
J 深刻な事態にある生  徒・学生などの就職難に 関わり、求職確保をはじ め施策の充実をはかるこ と。
二、同和・人権教育を廃止すること。
@ 度重なる府教委指導主 事の「ムラ発言」の反省 に立ち、民権連推薦の講 師による科学的な部落問 題についての研修をおこ なうこと。
A 部落問題の解決とは、 「違いを認め合って共に 生きる」人権教育の推進 によって実現できるもの ではないことを確認する こと。
B 行政施策の対象として の「同和地区」「同和地区 の子ども」は存在しない ことを確認すること。
C 「部落問題学習」につい てのこの間の府教委の対 応はなっていない。説明 責任をきちんと果たすこ と。
D 「人権教育基本方針」  「人権教育推進プラン」を 廃止すること。
E 人権教育読本「にんげ ん」、文部科学省「心の  ノート」の配布をおこな わないこと。
F 教職員の加配は公平に おこない、特定校への偏 重にならないこと。
G 「差別事象マニュアル」 を廃止すること。
H 公教育への運動の持ち 込み、「確認・糾弾」行為 を排除すること。
I 大阪府人権教育研究協 議会、府立学校人権教育 協議会、部落解放・人権 教育研究所などへの団体 補助金を廃止すること。

18−6
 「人権教育をひらく
   同和教育への招待」を切る (その六)
              亀 谷 義 富
 まだやらせようとする
  「部落民宣言」
 八九頁から自分を語るとして「部落民宣言」なるものが推奨されている。九一頁には、「子どもたち同士がさまざまな違いを持っていることをお互いに知り合い、そうした違いのなかの重要な一つとして部落出身ということが位置づいたときに初めて、出身者宣言がクラスの子どもたちに響く。」と森実氏が書いているのだが、「部落民宣言」の勧めにほかならない。
 森実氏に尋ねるが、そもそも**が部落民かどうかの認定・判定の基準は何なのだ。認定や判定は誰が行うのだ。法的には過去に同和地区と指定された地域があったことは事実だ。今は、それすらもないではないか。旧同和地区で、生まれた人が部落民か?育った人が部落民か?今住んでいる人が部落民か?客観的な基準がそもそもあるのか?本人が自分が部落民だと思えば部落民なのか?
 かつて、解放教育という名で「部落民宣言」なるものが行われた。主として、解同の下部組織である解放子ども会、中学生友の会等に加入している児童生徒をターゲットにして、解放教育に凝り固まった教師が、狭山差別裁判反対の同盟休校、ゼッケン登校などに際して学級会や集会活動時に、さかんにさせたのがこの部落民宣言であった。一言で言えば、「オレは部落民だ。差別されているんだ。だから解放子ども会に入っている。将来部落解放同盟の同盟員になって解同の運動をします。君たちは部落差別をする方の人間だ。オレたちを差別したらあかんぞ。オレたちのいうことをきかんとあかんぞ・・」というものであった。こんなことをリニューアルして教育現場でさせようと森実氏は考えているのである。
  プライバシーの権利を
  わい小化する森実氏
 九三頁に森実氏は、生活を語ることはプライバシーの侵害か?と題して、プライバシーの権利をわい小化している。・・そもそもプライバシーとは、「自分に関する情報を自分でコントロールする権利」である。かつてはプライバシーの権利が「人の生活や内面に踏み込まない権利」であるととらえられていた時期がある。ここでは、どこまで踏み込むとプライバシーにふれるのかということが問題にされる。家族関係について聞くことがプライバシーの侵害なのか、といった具合である。それは、プライバシー権のなかでも古い考え方である。・・
 言うのにことかいて、家族関係について聞くことが古い考え方だと。森実氏よ、勉強し直せよ。プライバシーの権利とは、次のような権利なのである。
 主な人権は、自由権、参政権、社会権の三つであるが十三条包括的基本権は、これ以外に「自律的な個人が人格的に生存するために不可欠と考えられる基本的な権利・自由」として保護するに値すると認められたものは、すべて「新しい人権」として、憲法上保障されるのである。憲法の個別的人権規定にはないが、今までに広く認知されている人権として「人格権」があり、人格権の一種としてプライバシー権があるのだ。
 生命・身体・健康・精神・自由・氏名・名誉・肖像および生活(プライバシー)等に関する各人の利益は法的保護に値する対象であり、保護される。これらを総称して「人格権」と呼ぶ。人格権の法源は十三条である。十三条から導き出された代表的な新しい人権のひとつにプライバシーの権利があるのだ。
 ◎プライバシーの権利
@私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利(基本的プライバシー権)
Aプライバシーの保護を公権力に対して積極的に請求していく権利(情報プライバシー権)
B個人の人格的生存にかかわる重要な私的事項を公権力の介入・干渉なしに各自が自律的に決定できる自由(自己決定権)
 森実氏のプライバシーの権利とは、自己決定権だけのことであり、基本的プライバシー権、情報プライバシー権などは、古い権利であるとして、捨て去ろうとしているのだ。

18−7
 第四回弓矢人権裁判口頭弁論
 事実と道理に立って裁判所に訴える

 十月二十六日、名古屋高等裁判所で第四回弓矢人権裁判口頭弁論が開かれました。被告三重県側と「解同」側は、原告弓矢教諭をどうしても「差別者」に仕立て上げようと新たな「差別発言」をつくりだすという卑劣な手段に訴えてきました。
 前回まで、被告「解同」側は事件と関係のない「差別」事象の羅列と「差別」糾弾合法論の一点張り。被告三重県側は、原告側が主張する三重県同和教育基本方針と「差別」対応マニュアルの違法性につてなんの反論もしないまま、糾弾会の強行と「差別」発言への反省強要に及んだ「解同」幹部、同推教員らを免罪した一審判決によりかかって罪を逃れようとする態度を一貫させてきました。
 原告側の論証の前に、弓矢教諭が「娘さんの将来にいいですね」と発言したと述べた一審と同一人の陳述書を重ねて提出。このなかで、「娘さんの結婚に」と答えたと「結婚」という言葉をデッチ上げ、これをもって明白な結婚「差別」と言いつのってきたのです。 そもそも反省文の作成強要が違法・無効であるとの主張に対して、それを否定する弁論もできないまま「差別」教員づくりに狂奔する教育委員会がどこの国にあるでしょうか。 被告「解同」側も、同じ論証で結婚「差別」と主張する準備書面を提出、また「解同」大阪府連北口末広書記長の陳述書も提出して糾弾会の正当性を主張、法務省人権擁護局通知は憲法違反で、「解同」の当局交渉によってすでに死文化している、一審判決が通知を引用しているのは誤りと強弁しました。
 これに対して原告側は、則武透弁護士が、最高裁昭和五十六年四月十四日判決(前科照会事件)などの判例を示し、プライバシー権、内心の自由、名誉権とそれに対する侵害の法律論について、陳述をおこないました。
 また伊賀興一弁護士が、私人間の発言をとらえて糾弾するのは許されないし、それに加えて発言に虚構を加えるのは不適切な手段と、矢田事件民事大阪地裁判決「同和教育の推進あるいは同和問題の解決をすすめるについては、さまざまな意見や理論的対立の存在することが考えられるが、特定の思想なり運動方針に固執するものが、右のような差別文書の定義を採用するときには、差別文書の解釈、運用の仕方如何によって容易に反対意見を封ずる手段として利用され、同和教育の推進あるいは同和問題の解決に対する自由な批判・討論が不活発となり、右問題に対する開かれた、自由な雰囲気がなくなって、ついには一定の考え、思想が独善に落ち込み、反対の理論ないし思想の存在、更には、その考えや思想に同調する人々の存在をも許さないという結果に陥ることになる」の判例を援用した、事実と道理に立った弁論は裁判所と傍聴人に訴えるものでした。
 これによって口頭弁論は基本的に修了し、次回は十二月六日の結審でまとめられることになります。
 
 十月二十二日、伊賀興一弁護士(弓矢事件弁護団副団長)を招いて学習会「弓矢人権裁判の課題」を民権連会館会議室で開催しました。
 詳細については次号以下に掲載します。

18−8
 福岡地裁
 同和教育訴訟、原告勝訴の判決
  県同教への出張、給与・出張費の支払いは違法

 民間団体にすぎない福岡県人権同和教育研究協議会(県同教)の行事運営に従事するために授業を持たずに出張を繰り返していた福岡県立小倉商業高校(北九州市)の男性教諭に給与と出張費を支払ったのは違法と、福岡県地域人権運動連合会の会員らが麻生渡知事を相手どった裁判の判決が四日、福岡地裁であり、原告側が勝利しました。
 一志泰滋裁判長は「ほとんどの出張は県同教の運営に関係しており、公務といえない」として、出張と給与・出張費の支払いを違法と断定。その体制を支えてきた県教育委員会の関係職員の責任も認め、麻生知事に元教諭や校長(当時)らに出張費約十四万円と支払った給与約三百万円を損害賠償として請求するよう命じました。
 訴えによると、元教諭は、約十一年の長期にわたって県同教に派遣され(別の裁判ですでに違法が確定)、二〇〇〇年四月に同校に復帰した後、県同教の活動のために出張を繰り返し、出張日数は〇二年度は約百日間にのぼり、「同和教育ヤミ専従」として活動していました。一志裁判長は、この出張のほとんどすべてを違法と断じました。
 原告団・弁護団は、「解同と県同教との癒着の関係を抜本的に是正し、教育行政の主体性を確保していく」との連名の声明を発表しました。
 判決後、原口正敏団長ら原告代表は、県教委に対し、控訴せず、判決を真摯に受け止め、同和教育のゆがみをすみやかに是正するよう要請しました。

 いまだにこんなことが八尾で
解同支部が同盟休校・休園を叫びデモ後進

 十月六日、異様なデモが八尾市役所周辺でおこなわれました。デモ隊は二百人近くの老人が中心で、護衛(?)している若者三十数人が「丸尾」と大きく染め抜いた白装束のジャージの上下を着て取り囲むように整然と行進。先導車のスピーカーからは「地域や住民無視の安中東保育所の民営化に抗議する。地元を無視した堺市の法人への民営化決定の白紙撤回を求めます」「私たちは同盟休校、同盟休園で断固たたかう」と繰り返されていました。
 解同安中支部ニュース(九月十九日号等)によると、保育所民営化には反対ではない。地元を無視した法人選考は認められない。選考委員が「被差別部落である地域の歴史や地域性を無視したのは納得がいかない」「情報公開しない。説明責任を果たさない八尾市に抗議する」と主張。
 八尾市の法人選考結果報告では、安中東保育所の移管にあたって六法人から応募があり、書類とヒアリングによる審査の結果、堺市の法人に決定したとある。 解同安中支部が「地元を無視した法人選考は認められない」というのは解同幹部や顧問の丸尾氏などが理事を勤める法人「虹のかけはし」が選考されなかったことへの抗議であることは明らかなこと。
 二百人近くのデモに参加した老人たちは背中を丸めて、中には杖にすがりながらゆっくりと行進。支部ニュースによると「参加確認の同意書をとります」とあり、市営住宅の入居者を中心に一軒に最低一人の参加を求め、地域には同盟休校・休園を呼びかける立て看板が立てられていた。
 市役所前の図書館に本を借りに来た老人はびっくりして「ものものしい警官とそろいの服を着た人が居ますが何事ですか?」と聞き、「まだ、こんなことをやっているのですか、昔とちがって差別はなくなりましたし、今では何のこだわりもなく地域の人と付き合うようになっているのに残念ですね。差別を食い物にしていたら差別はなくならないですよねぇ」と話していました。