2013年10月15日、11月15日 合併号

  民主と人権 第112号

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 特集号
  輝 け 子 ど も た ち
 −「人権教育」Q&A−
            2013年版
 ・部落問題学習は今でも必要なのでしょうか
 ・教育は権利 子どもが輝く教育を
       大阪教育文化センター
       「部落問題解決と教育」研究会

  ―「人権教育」を考えるQ&A ―  目次
Q1 「部落問題」とは何ですか。………………………………… 2
Q2 「部落問題」は今でも教えなければいけないのでしょうか。 3
Q3 「将来部落差別に合うかもしれないから教えないといけない」と言われましたが
   どう考えたらいいでしょうか。………… 3
Q4  学校で教えたことが逆効果になったのは本当ですか。…… 4
Q5 同和対策事業を終了した理由は何ですか。………………… 5
Q6 行政のすすめる「人権教育」はどこが問題ですか。……… 6
Q7 人権教育はどう考えればよいのでしょうか。……………… 7
Q8 インターネットに差別的な記事がありますが、どう考えればよいでしょうか。
    ……………………………  9
Q9 地域フィールドワーク研修を、どう考えたらよいでしょうか。 …… 10
Q10 「部落民宣言」をどう考えたらよいのでしようか。…… 11

  このパンフレットは大阪教職員組合、民主主義と人権を守る府民連合の協力により、大阪教育文化センター「部落問題解決と教育」研究会がしたものです。会の了解を得て本機関紙に掲載しました。
   二ぺーじへつづく

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Q1「部落問題」とは何ですか。
(1)部落問題は封建時代の残りものです。

 江戸時代までの日本の封建社会は身分をもとにする社会でした。明治以後の日本の近代化の中でも、地域社会の中では江戸時代の賤民身分につながりがあるとされた一部の地域が差別されていました。これに対して、差別の解消をめざす運動が大きく広がりました。
 しかし、天皇を頂点とする皇族・華族・士族などの身分制度、地主制度、戸主制度など半ば封建的な体制のもとで解決されることはありませんでした。
 戦後、日本国憲法の成立と国民の民主主義的意識の高まりの中で、部落問題は解決に大きく道を開きました。
 1969年から始まった同和対策事業は国地方自治体あわせて15兆円が投入され、日本の高度経済成長とともに地域の状況を一変しました。
 劣悪な地域の環境は改善され、「部落」と呼ばれた集落の景観もなくなり、周辺地域との分別もできなくなりました。人口の流出入により、居住する人々の入れ替わりも激しく、誰が従来からの居住者か、誰がそうでないかも分からなくなりました。結婚や進学・就職も大きく改善されました。

(2)子どもの中に部落問題はありません

 1965年の同和対策審議会答申は、経済的事情による子どもたちの不就学・長欠、困難、進学・就職の困難、トラホームなど疾患や栄養状態の困難などを子どもたちの中の部落問題として指摘していました。同和対策事業により、地域の環境や就職が改善され、このような問題は姿を消しました。
 今日の不登校・登校拒否やいじめ、低学力、就職の困難などは日本社会の全体の問題です。
 府教委は部落問題の残された課題として「同和地区は低学力」と述べていましたが、府民から「混住が進むもとで、低学力は経済的状況によるものでなく部落問題によるものと根拠をあげて言えるのか」と指摘され、答弁不能になりました。

(3)部落問題の解決とは出身を意識しないこと

 2012年に泉南市が行った市民アンケートは驚くことに「あなたは同和地区出身者の友人や知人がいますか」「家族・親族がいますか」という項目がありました。
 この泉南市の例で言えば、逆に部落問題の解決とは、友人や知人、家族・親族が、「同和地区」出身者かどうか意識しない、そんなこと関係ないわ、という状態になることが部落問題の解決ではないでしょうか。
 そして現在では、「同和地区」という指定もなくなり、「同和地区」出身かどうかを意識することはありません。社会問題としての部落問題は基本的に解決しています。
 まだ偏見や誤解を持つ人がいるにしても、社会としてそれが受け入れられることはなく、逆に克服して国民融合をすすめていくところまで来ているのではないでしょうか。
  三ページへつづく

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Q2 「部落問題」は今でも教えなければいけないのでしょうか。
A2 消えつつある問題を教えれば、残すことになります。教えることはやめましょう。 
 子どもたちや市民の暮らしの中に部落問題はありません。「部落」を意識して生活していません。どの調査結果を見ても、子どもが部落問題に出会うのは学校の授業というのが多数です。学校が「部落」を意識させているのです。
 全国人権教育研究協議会(全人教)の全国大会の報告では教師が子どもに対して「あなたは部落出身だ」と告げる実践まで見られます。
 その結果、部落問題はいつまでたっても解決しない問題と認識させています。
 小学校の教科書からは「部落」「同和地区」という名称や江戸時代の賤民身分の呼称が姿を消しました。府教委の人権教育指導資料集の小学校向けからも消えました。一部の学校現場ではいまだに「部落」「同和地区」や賤民身分の呼称を教えているようです。教えたことで子どもたちがその言葉を使い、それをまた問題として学習に熱中するという悪循環が見られます。

 大阪市内のある中学校では、「差別落書き」が見つかったとして教師が子どもたちに大問題として訴える実践がありました。聞いた子どもたちはその落書きが何を意味するのかわからなかったといいます。死語になっている賤称語を教師が子どもたちに教えていたのです。死滅しつつあることばを学校の教師がよみがえらせていいのでしょうか。

Q3 「将来部落差別に合うかもしれないから教えないといけない」と言われましたがど  う考えたらいいでしょうか。
A3 憲法の基本的人権の大切さがわかれば対処できます。

 教育は、基本的人権の主なものは教えなければいけません。現実に若者が直面している労働基本権やパワハラについて、自己責任でなく社会のありようの問題であることを教えることは重要です。
 部落問題はどうでしょうか。封建社会から尾を引く問題で、今日の日本社会から消滅しつつある問題です。出会う可能性は「可能性」という意味ではゼロではありません。でも、何時間も取り上げて教えなければ対処できない問題でしょうか。偏見や差別は、いじめと同じで特に根拠があって行われるとは限りません。個別の事象について根拠がないことをいちいち学習することは不可能ですし、必要ありません。
 「人間は、みんなおなじようにかけがえのない値打ちがある」ということ、憲法97条に示す「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」ことの理解が大切です。
 2010年の大阪府民意識調査分析編でも「『差別意識はさらに強くなっている』と認識している人の人権意識が高いわけではありません。また、『同和問題は知らない』という人の人権意識が低いわけでもありません。」としています(P53)。 
  四ページへつづく

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Q4 学校で教えたことが逆効果になったのは本当ですか。
A4 5年ごとの府民意識調査に結果が出ています。
 「人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編)」が2012年に出されています。そこでは、人権学習について次のようにコメントされています。
▼小学校、中学校、高校での学習が特に役に立った(一番印象に残っている)と回答した人において有意な効果が認められない。(P69)
▼様々な学習形式の中で、効果のある学習形式を見出すことはできない。(P31)
▼ 「差別意識はさらに強くなっている」と認識している人の人権意識が高いわけではありません。また、「同和問題は知らない」という人の人権意識が低いわけでもありません。(P53)
▼予期せぬ効果≠ニして、学習経験を積むほど、『就職差別や結婚差別は将来もなくすことは難しい』という悲観的な意識が広がったということも指摘しておかなければなりません。(P73・74)
 「予期せぬ効果=vとは白々しいものです。1990年の府民意識調査でも、小中学校で副読本「にんげん」を使って学習した者、大学で部落問題学習をした者、人権啓発講座を受けた者ほど、「部落」に対してマイナスイメージを持っていることが府民から指摘されていました。(上段のグラフ参照 府のデータをもとに、当時の全解連(全国部落解放運動連合会大阪府連が分析したもの)
 2005年の大阪府「人権意識調査結果」についても、同和問題について知ったのは「学校の授業で教わった」が初めてと答えた人で、結婚差別や就職差別を「なくすことは難しい」と答えた人の比率が最も高く出ており人権学習のなされ方に問題があると研究者から指摘されていました(石倉康次「大阪人権意識調査の虚実」『大阪府「旧同和地区」実態調査と人権意識調査について』部落問題研究所、2007年3月)
 学校での部落問題学習がマイナスイメージを育てているのは「予期せぬ“効果”」でなく、指摘されていたことなのです。
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Q5 同和対策事業を終了した理由は何ですか。 
A5 成果があった反面、続ける限り問題解決しないからです。

 同和対策事業はなぜ行われたのでしょうか。1965年の同和対策審議会答申では「道路および下排水路は一般に未整備で、保健衛生や火災防止上危険などの点からも改善の余地が十分にある。また路上の街灯設置についても、設備された地区はきわめて少ない。上水道設備の普及は、いぜんとして共同利用、あるいは井戸の利用という状態がみられる。都市的地区でさえも現在、井戸利用がまだ少なくない。」など地域のようすや衛生状況、雇用、結婚などの実態が指摘され、地域の環境改善と生活向上の
ための施策が必要とされました。
 1969年から始まった同和対策事業は、2002年の終了までに国・地方自治体合わせて15兆円を使われ、地域の環境は激変しました。同時にその事業をめぐって利権あさりと暴力が横行しました。地域改善対策協議会意見具申が指摘するように、行政の主体性の欠如、同和関係者の自立の視点の軽視、えせ同和行為の横行、同和問題についての自由な意見の潜在化傾向など新しい問題が生じました。
 2002年3月末に特別対策は終了しました。
 総務省の出した「同和行政史」は、「特別対策を終了する理由」というページを設け、@地域の状況が大きく変化した、A特別対策の継続は同和問題の解決に必ずしも有効とは考えられない、B大規模な人口変動で対象を限定した施策は実務上困難という3点をあげています。
 (「同和行政史」総務省大臣官房地域改善対策室平成14年3月P78・79)

 地区や住民を行政が公的に区別することは差別の解消という目的と調和しがたい

 Aの「特別対策の継続は同和問題の解決に必ずしも有効とは考えられない」という意味について「同和行政史」は大きく2つ説明しています。「施策の適応上、地区や住民を行政が公的に区別して実施する特別対策の手法が、差別の解消という同和行政の目的と調和しがたい側面があることも否定できない。」 行政が公的に区別することを続けることは差別の解消という目的と矛盾するという点です。

 特別対策の継続はマイナスイメージの固定化につながりかねない

 「また、特別対策は差別と貧困の悪循環を断ち切ることを目的として始められたものであるが、全国の同和地区を全て一律に低位なものとみていくことは、同和地区に対するマイナスのイメージの固定化につながりかねず、こうした点からも特別対策をいつまでも継続していくことは問題の解決に有効とは考えられない」特別対策を続けることが、マイナスイメージの固定化につながることは府民意識調査の分析に示されているとおりです。

 特別扱いをやめない限り問題は解決しない

 1969年からの特別対策の開始は研修や資料で説明されますが、ここに紹介した特別対策を終了する理由の説明は研修や資料でいっさい説明がありません。
 行政や学校がいつまでもいつまでも「部落」や「同和地区」として特別扱いする限り、問題は解決しないのです。
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Q6 行政のすすめる「人権教育」はどこが問題ですか。
A6 「基本的人権」を国民相互の心がけに矮小化しています。

(1)日本国憲法の示す基本的人権はもっと豊か

 日本国憲法の前文では「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とし、憲法第3章の第11条から第40条までを基本的人権の具体的な内容として示しています。
 憲法11条「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」
 以下、憲法の条文のテーマを列記してみます。
 個人の尊重。生命、自由及び幸福追求権。法の下に平等、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。選挙権。請願権。公務員の不法行為による損害の賠償。奴隷的拘束及び苦役の禁止。思想及び良心の自由。信教の自由。集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護。居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由。学問の自由。家族関係における個人の尊厳と両性の平等。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利。教育を受ける権利。勤労の権利。勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利。財産権。裁判を受ける権利。生命及び自由の保障と科刑の制約。裁判を受ける権利。…以下略。
 教育委員会などがすすめている「人権教育」は、果たして日本国憲法の掲げる基本的人権の豊かな内容を反映しているでしょうか。

(2)社会的経済的権力の人権侵害から目をそらせる

 政府は「人権教育・啓発推進法」(2000年)や「教育基本法」改悪(2006年)などをもとに、道徳教育を強化し、「人権教育」を道徳教育の一環として位置づけています。
 政府の「人権教育」でいう「人権」は、公権力・社会的経済的権力(行政や企業など)と国民との間の問題(縦関係の問題)から目をそらし、国民相互の心がけ・モラルの問題(横関係の問題)に矮小化しています。
 専制支配に対して民衆が抵抗し勝ち取ってきた「人権」が、21世紀の日本では、政府が国民を教育するキーワードになっています。
 したがって各教育委員会の「人権教育」では原発事故、ブラック企業などによって基本的人権が奪われている現実に目を向けようとしません。

(3)子どもを責める「人権教育」

 2004年3月に大阪市教育委員会が作成した「自己実現をめざす子どもを育てるために」という冊子があります。「人権教育の深化充実に向けて積極的な活用に努めていただきたい」としています。
 「子どもの権利条約」を扱った学習計画で指導のポイントとして「自分たちの日常生活や学級・学年集団に目を向け、これまでのおこないが、『子どもの権利条約』に反していないかを見つめなおさせる」とあります(市教委冊子154ページ)。
 「子どもの権利条約」で子どもを責める、これが行政の提唱する「人権教育」なのです。権利行使の主体者として子どもを育てる視点はここにはありません。
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Q7 人権教育はどう考えればよいのでしょうか。
A7 教育は権利 子どもが輝く教育をめざしましょう。

(1)子どもが主人公の学校・学級づくり

 教育はそれ自体が権利であることを明確にしましょう。行政はこの点をあいまいにし、教育を受ける権利を人権教育の単なる一項目におとしこんでいます。「人権教育」である前に、教育を受ける権利は人権であり、学校は人権保障のための場なのです。
 子どもたちは人権教育を受けるために学校へ来ているのではなくて、権利として学校へ来ているのです。
 子どもは、親や家族、教職員など他者との人間的なかかわりを通して、人間的信頼や尊敬の感情を醸成させます。
 多くの教職員は子どもが主人公、どの子も人間として大切にされる学校・学級づくりを、こころがけています。日々のとりたてて声高に報告することのない地道なふつうの実践の積み重ねが人権というものを実感し、真に理解していくことにつながります。このことに確信を持ち、当たり前の実践を積み重ねようではありませんか。
 特定の価値観の押しつけや体罰、管理主義的教育では子どもは人間らしく扱われず、人間への信頼感を育てることになりません。そのような教育では他人の人権を尊重するように指導しても期待はできません。

(2)どの子にも確かな学力と生きる希望をはぐくむ教育実践

 「どの子にも基礎的な学力をつけてやりたい」と、どの教職員も日々地道な実践を積み重ねています。基礎学力は、子どもが権利の主体者になるために欠かせない条件です。
 目の前にいる子どもたちにどのような力をつけてやりたいかを教職員や保護者と話し合い、合意をつくり、その合意にもとづき教育実践を充実させましょう。
 権利の学習もその中に位置づけましょう。

 子どもの現実から出発しましょう

子どものくらしの現実に教材があり、解決の方向があります。教師があらかじめ予定している人権の項目を教えるというのは建前を教えることになるだけです。

 「人権」を憲法の示すように豊かにとらえ、権力者による人権侵害と向き合いましょう

 日本国憲法の示す基本的人権はもっと豊かで幅広いものです。憲法は「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としています。人権を国民相互の心がけや「自己責任」に封じ込めさせず、社会的・経済的権力の人権侵害、
 八ページへつづく

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貧困と格差という現実とも向き合うことが大切です。中学校・高校生には就職やバイトにおける働く権利の学習も積極的にすすめましょう。

(3)自主活動・自治を育てる

 子どもたちは現在の生活を充実する権利を持っており、現在の生活の積み重ねの先にこそ健全な市民としての発達があります。学校教育における諸活動は、子どもが文化に参加しながら文化を獲得していく場であり、仲間との交流(トラブルを含めて)を繰り返しながら、文化への参加の先輩であり子どもの教育についての専門家である教師から学ぶという機会をあたえられる場です。子どもが要求や願いを出し合い、自分たちで話し合いをすすめ、学校行事や生徒会活動やクラブ活動などで、要求や願いを実現していく取り組みを通じて、子どもは民主主義を学び、人間への信頼を深め、主権者国民としての能力を養っていきます。体罰や管理主義的教育はわたしたちがめざす教育とはあい容れません。

(4)学習権の保障

 憲法の「その能力に応じてひとしく」というところは、どの子もその能力を全面的に発達させるのにふさわしい配慮を受ける権利がある、さまざまな教育的ニーズに応じた支援を受ける権利を有すると理解するべきです。学校現場や地域に、それにふさわしい体制を整えることが求められます。

(5)教育の自由・研修権の保障

 教職員の教育活動における自由と権利は、子どもの教育が創造的で自律的主体的な営みだという本質に由来します。現職教職員の研修は、子どもの学習や発達保障に責任が果たせるように研修の内容を自ら選択する自主性と主体性が求められます。
 各学校で教職員・保護者・住民が、目の前にいる子どもたちにどのような力をつけてやりたいかを豊かに論議することが大切です。教育行政には現場の多様な教育実践を尊重する姿勢が求められます。職場での教育実践交流にとどまらず、自主的な教育研究活動に参加し、すぐれた教育実践を学び合うことも大切です。

(6)教育条件の整備

 今日の様々な教育困難を解決し、豊かな民主教育を推進していくためには、30人学級の実現・教職員定数の大幅な増加・教育予算増など抜本的な教育条件の改善は欠かせません。教職員の過密・長時間労働を解消し、子どもとゆったり接し、一人ひとりの子どもを理解する時間や教材研究の時間の確保などは、憲法と子どもの権利条約が生きる教育をすすめるためには不可欠です。
   九ページへつづく

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 主権者国民として生きる力を

 教育は、子どもが真理・真実を学び、人格の完成をめざし、平和的な国家および社会の形成者として育つことを助ける国民的な営みです。憲法と「子どもの権利条約」が生きる教育は、子どもが人間として、主権者国民として、社会で立派に生きるために必要な能力を身につけさせるものです。学校教育は、自然や社会についての基本的な知識、生活と労働に必要な技術の基本、文化的な諸能力などを子どもの発達段階に即して習得させるものです。
 人間の成長・発達においては、人権認識だけが独自に高まることはなく、社会認識・生活認識・人間認識などとともに総合的に人権認識が深まっていくのではないでしょうか。
 
Q8 インターネットに差別的な記事がありますが、どう考えればよいでしょうか。
A8 部落差別はもはや社会で受け入れられません。

 府教委などは、部落問題が解決していない根拠に、インターネットの記述をあげます。
 誰が書いたかわからない落書きと同じようにインターネットにも書き込む輩がいるようです。しかし、その様な書き込みが社会で受け入れられているわけではありません。現実の社会では部落問題についての無責任な言動は受け入れられません。犯罪につながるものは現行法でも対応することは可能です。法務局など人権擁護機関も対応しています。
 「ヘイトスピーチ」のように差別や憎悪をあおる現実があります。教員や公務員、生活保護受給者もバッシングされています。
 人を攻撃することで自らの得点を稼ごうとしてきたのは、誰でしょうか。教育改革が必要といい、現場の教員の質が問題であるように描き、不信と不満を煽ってきたのは権力者の側であり、一部のマスコミも手を貸してきました。
 インターネット上の匿名で個人が調子にのって差別や憎悪を記述することは道義的に許されませんが、権力者たちが煽ってきた風潮の中で生まれた問題を学校現場に押しつけるのでは問題の解決につながるはずがありません。
 時の権力者たちが国民同士や公務員・教員への不信をあおっているもとで、私たちは、子どもたちを真ん中に保護者や地域住民と手をつなぐ実践を通じて、信頼と協力の輪を広げていくことの大切さを確認したいと思います。
 十ページへつづく

112−10
Q9 地域フィールドワーク研修を、どう考えたらよいでしょうか。
A9 見ても何もわかりません。解同の話を聞かされるだけです。

 フィールドワークと称して行政や研究団体、学校が、なにも知らない人を連れて来て、ここがかつての「部落」「同和地区」だと教えています。
 現地へ行ったところで、他の地域となんら変わることはありません。見ただけではなにもわからないのです。他の地域となんら変わらないようにしようと事業が行われてきた成果でもあります。同和対策事業で建設された「人権文化センター」や「青少年会館」などの建物が目立つだけです。
 居住者から言えば、「私たちの町を『ここが部落』と言う視線で見ないでほしい」という思いがあります。行政が若者を案内して見に来るのはもうやめてほしい、私たちをさらしものにしないでほしいという声は無視されています。
 フィールドワークで見ただけでは何もわかりません。とすれば、現地で聞く話がメインになります。そこで話す人は肩書きが何であっても結局は部落解放同盟(解同)の立場にたつ人です。大阪では行政はそういう人しか講師に選びません。
 逆に言えば、部落解放同盟の支部のない地域では、フィールドワークなどと称して「ここが同和地区」と見に来ることなど地域住民が歓迎しないし、認めないのです。
 法終了から10年以上経つのにまだ続けていることは、大阪の行政の歪みを示しています。
  十一ページへつづく

112−11
Q10 「部落民宣言」をどう考えたらよいのでしようか。
A10 運動の持ち込みで、公教育では認められません。

 「部落民」とは現在、部落解放同盟が使っていることばです。「自分は何者なのか」という自己同一性(アイデンティテイ)にかかわる認識が必要で「部落差別を受ける可能性」(社会的立場)を自覚し、部落民として生きていくことを引き受けるという主体の確立の問題だそうです(注)。
 「部落差別を受ける可能性」という恐怖心を子どもたちに育てることに賛同することはできません。「部落民宣言」や「立場宣言」という形で部落解放同盟のこの考え方を教育に持ち込むのは、運動の持ち込みであり、公教育としては認めることができません。
 今の時代に「武士宣言」や「公家宣言」をする人がいたら、周りの人はびっくりするでしょう。旧身分にこだわって生きていくことは封建制度にとらわれた生き方ではないでしょうか。子どもたちには部落差別なんてもはやない、もう許されない社会だと知らせたいものです。

 (注)
  「『部落解放同盟綱領』解説のための基本文書」
                 2011年

 部落民の定義にあたっては、「自分は何者なのか」という自己同一性(アイデンティテイ)にかかわる認識が必要である。アイデンティテイを構成する要素は、一般的に言って大きな要素として3つある。一つ目は、「生育環境」であり、2つ目は「他者評価」、3つ目は「自己認識」である。「生育環境」と「他者評価」は、本人の意識とは関係なく客観的に「部落差別を受ける可能性」を形成する。「自己認識」は、その可能性(社会的立場)を自覚し、部落民として生きていくことを引き受けるという主体の確立の問題である。  十二ページへつづく

112−12
目からウロコの人権教育

 ウェエブサイトへようこそ
 「人権教育事典」へようこそ
   http://jinken.main.jp/
 「人権教育事典」は「部落問題解決と教育」研究会が作成した手作りのウェブサイト(ホームページ)です。ウィキペディアと同じような(WiKi)というシステムを使っています。
┌───────┬──┐
│ 人権教育事典 │ 検索│
└───────┴──┘
 表紙には…
 わらぐつの中の神様/スーホの白い馬/モチモチの木/注文の多い料理店/チョコレートから世界が見える…/みんながたまごだったころ
 これらのタイトルを見て、「どうしてこれが人権教育?」と思われるかもしれません。一つひとつの実践報告をぜひお読みください。「こんな人権教育があつたんだ」と思っていただけると思います。(学校名、氏名は全て匿名・仮名です)
 また、部落問題解決の現在の到達点にたった「人権教育」の課題を考えるサイトとして、部落問題の過去・現在の様々な資料を提供しています。

 2013年9月1日
 編集 大阪教育文化センター「部落問題解決と教育」研究会
    「大阪教育事典」http://jinken.main.jp

 協力 大阪教職員組合/民主主義と人権を守る府民連合
 発行 大阪教育文化センター

112−13
 市民共同の歴史的大勝利
    堺市長選挙の結果について
   2013年9月30日 住みよい堺市をつくる会
  
 堺市長選挙は、9月29日投開票され、住みよい堺市をつくる会が自主的に支持した現職の竹山おさみ氏が当選しました。
 選挙結果は、竹山おさみ氏が19万8431票、西林克敏氏が14万0569票、投票率も50・69%と市民の大きな関心が高まるなかでの圧勝でした。
 つくる会に結集して全力で運動をすすめられたみなさん、全国、府下から応援に駆けつけていただいたみなさん、そして、良識ある選択をされた多くの市民のみなさんに心から感謝いたします。ありがとうございました。
 今回の選挙は、維新の会による堺市つぶし=大阪都構想を許すのか、竹山市政の継続で政令市・堺をさらに発展させ、「堺はひとつ」の市民共同でくらし応援の市政を継続させるのかが問われた選挙でした。あわせて、橋下市長が大阪市ですすめている市民のくらし切り捨てや従軍慰安婦発言、職員の思想調査など異常な人権感覚に基づく維新政治に痛打を与えた歴史的な選挙でした。
 相手陣営である維新の会・西林陣営は、橋下代表、松井幹事長が連日堺に入り、国会議員、地方議員などを総動員する、まさに必死の総力戦で臨んできました。
 また、「大阪都」構想による堺市つぶしを許さない私たちの宣伝に、「だまされないでください。」「堺はなくしません。」「堺のお金(税金)は取られません。」といいわけにまわり、逆に、竹山陣営やつくる会と共産党を「堺なくなる詐欺」「ウソ八百」「変な集団」などと罵り、つくる会のビラを橋下代表自らが「違法ビラ」呼ばわりして妨害するなどなりふり構わぬ運動を展開しました。
 しかし、9月11日に私たちが突き付けた公開質問状に何一つ回答できず、挙句の果てには「最終的には住民投票で決定する」から「不利益な提案は否決できます」などと争点そらしを行うなど、その主張は完全に破たんしました。
 一方、私たちの「堺はひとつ」「堺をなくすな」の運動は、「堺はひとつ 市民のマーチ」の大成功に象徴されるように、立場を超えた大きな市民共同が広がりました。
 十四ページへつづく

112−14
また、「維新の暴走政治を許すな」との府下や全国のみなさんからの大きなご支援は、私たちの励ましとなり勇気を与えてくれました。
 まさに、維新の会の「堺市つぶし」に対する「堺はひとつ」「堺をなくすな」の市民共同の勝利、府下に広がる維新政治にストップをかける府民共同の勝利といえます。
 同時に、西林候補に投じられた14万余の市民の思いは、いまの政治や経済に不満を持ち「何とか現状を変えてほしい」という市民の気持ちの表れでもあり、より住みやすく活気あるまちづくりをどのようにすすめるのかが、2期目の竹山市長には問われることとなります。
住みよい堺市をつくる会は、今回のたたかいで得た市民共同運動の教訓と財産を活かし、引き続き、政令市・堺市の自治の発展、市民要求の前進をめざして力を尽くすものです。

 「同和行政」の完全終結、住みよいまちづくりを求める要求書
     10月10日 民権連箕面支部
 市民生活の向上、教育施策充実のため、日々、ご奮闘されておられることに敬意を表します。
 高齢者社会をむかえ、今こそ福祉、 医療、子どもの教育など諸制度の充実と住みよいまちづくりの確立が求められています。一方、国の特別法が終了して11年、「地区指定」も解除され、住民の入れ替わりも大規模に進行したことなどから「同和問題」は解決の方向に大きく向かっています。
 以下、「同和行政」の完全終結と住みよいまちづくりを求めて要求書を提出いたします。誠意ある対応をよろしくお願いします。
 (要求項目)
1、「同和行政」の終結宣言をおこなうこと。
2、箕面市人権協会の廃止をすること。
3、ヒューマンズプラザ、老人いこいの家の利用者要望に応えること。
@カラオケの新譜購入
Aトイレの洋式化
Bピアノの取替え
C分室の冷房機の取替え
D防音装置の取付け
E災害時の位置付けと市民への公表
F高齢者コミュニティの拠点になる事務所(作業が できる)設置
4、とどろぶち公園改修計画の進捗状況と到達点を明らかにすること。
5、桜ヶ丘まちづくり構想(住環境をよくする会)の進捗状況を明らかにすること。
6、市営住宅1、2号館の空家入居の公募を今年度内には若い世帯も入居できるよう入居基準を緩和すること。

東大阪市へ懇談を申し入れ
  10月4日 民権連

 東大阪市では平成20年度、22年度に出された「包括外部監査報告書」で「特別扱い」の是正を求め厳しい指摘がされています。また、民権連が提出した要求書にもとづく各部との懇談の中でも、ほぼ全部局において「特別扱い」が見直し・是正されず現在も続いている実態が明らかになりました。
 各部局とも「自分たちだけでは難しい、上の判断を」と答えており、「特別扱い」の見直し・是正、廃止の決断をおこなうためにも市長の判断が必要と考えています。 問題解決のためにも私どもの考え方を聞いていただきたく、市長との懇談を申し入れるものです。

 65周年
 日本のうたごえ祭典・おおさか 大音楽会
    大阪城ホール
2013年 11月2日(土)
  開場16:00 開演17:00
 指定席4000円、自由席 一般 3500円
 高校生以下、障害者、介助者1000円(いずれも当日券500円増)

 特別音楽会
 ザ・シンフォニーホール
  11月3日(日)開演18:00
  全席指定 A席3500円、 B席3000円 

112−15
  資料  市民交流センターは平成26年度廃止とする(大阪市)
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112−16
 ヘイトスピーチは人種差別
   朝鮮学校周辺 街宣禁止の判決 京都地裁

 京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)周辺での街頭活動で業務を妨害されたなどとして、学校を運営する京都朝鮮学園(同市右京区)が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と関係者9人を相手取り、半径200メートル以内の街宣禁止と計3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、京都地裁でありました。橋詰均裁判長は在特会の街宣は人種差別に当たるとし、同範囲内の街宣禁止と約1226万円の支払を命じました。
 橋詰裁判長は、「在特会の一連の行動は在日朝鮮人に対する差別意識を訴える意図があり、人種差別撤廃条約に盛り込まれた『人種差別』に当たる」と、事実上ヘイトスピーチだと認定。「違法性があり、人種差別行為に対する保護及び救済措置となるよう(賠償額は)高額とせざるを得ない」と述べました。 

判決を歓迎する
   市田書記局長が会見

 日本共産党の市田忠義書記局長は7日記者会見で、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の街頭宣伝を「人種差別」の認定した京都地裁判決について、「この判決を歓迎する」と表明しました。
 市田氏は「特定の人種や民族、国民に対する常軌を逸した攻撃(ヘイトスピーチ)は、民族差別を助長するものだ。集会結社の自由や表現の自由があるからといって、今回、問題となったような街頭宣伝は許されない」と指摘。
 また、市田氏は、安倍晋三首相や橋下徹大阪市長など公人による侵略戦争美化・合理化の歴史認識をあげ、「日本でヘイトスピーチが公然化する背景には、それを許す政治的土壌がある」と指摘。「こうしたことにもメスを入れる必要がある」とも述べました。

 (しんぶん赤旗 10月8日付より)
 013年 秋の憲法学習講座
 日 時 10月29日(火) 午後6時30分〜8時30分
 会 場 大阪府教育会館(たかつガーデン)8階大ホール
 講 演 テーマ 「安倍政権の新たな改憲戦略と運動の課題」
 講 師 渡辺 治さん(一橋大学名誉教授)
  学習を力に、集団的自衛権行使・「戦争する国づくり」許さない府民大運動を
主 催 大阪憲法会議・共同センター


 全国革新懇 交流会in大阪
   地域・職場・青年革新懇

 激突の情勢政治を変える新しい共同を
☆第1日 全体会(特別発言−情勢と統一戦線の新しい条件)
日 時:11月16日(土)13:30〜17:30
会場:堺市民会館
☆第2日 分散会
日 時:11月17日(日)9:00〜12:00
会場:エルおおさか 
 1日参加500円/両日参加1000円