2013年2月15日 

   民主と人権第104号

104−1
 大阪市立桜宮高校 橋下市長は教育に介入するな
  改革の主人公は教職員・生徒・保護者

 伊賀興一弁護士らが呼びかけた「桜宮高校から体罰をなくし、改革をすすめる会」(略称「桜宮応援団」)が1月27日、同校の保護者、卒業生、弁護士や大阪市の教職員組合、市民ら170人の参加で結成されました。「桜宮応援団」は、一日でも早く落ち着いた環境で生徒たちが学び部活動が再開できるように、保護者や在校生、教職員が心を寄せ合って桜宮高校を再生させるのを応援し支えるものです。
 伊賀興一弁護士は、橋下市長が、自殺に及んだ生徒と遺族の味方であり、体罰と対峙するのは自分しかいないように位置付け、入試中止や教師の総入れ替えなど、桜宮高校の改革議論に介入してきていることを批判、体罰のない桜宮高校の再生を行う主体は「当事者である教職員、生徒、保護者」であること、今、何より必要なのは当事者たちがこの問題を忌憚なく話し合える場をつくることで、それ以外に改革の“特効薬”はないと強調しました。
 市長やマスコミ、心無い人たちから加害者扱いを受け、全クラブ活動中止、進学に重大な影響を及ぼす大会への出場中止など子どもたちの実情や苦しみが涙ながらに訴えられました。今の今まで体罰のひとつくらいと思っていたが、体罰はダメだということを確認しないと前に進めない(保護者・男性)、昨年のバレー部で体罰問題が起こったときの対処をしっかりしなかったことを悔やんでいる(保護者・男性)、体罰のない先生のもとで日本一になった。先生の総入れ替えは疑問(卒業生・女性)、何とかしなければと在校生を励ます署名を始めた(野球部OB)、など20人を超える保護者・卒業生が発言、意見交換をおこないました。「体罰は許さない」ことを前提とし、新しい普通科のカリキュラムを明らかにすること、教職員の総入れ替えではない対応など共通の問題意識を確認、これらを取りまとめて、早急に市教委に要請していくこととしました。
 市教委は2月5日、体罰が常態化していた男女バスケ、男子バレー、サッカーの3部の顧問を交代させるなどの措置をとった上で6日から全運動部の活動を再開させることを決めました。

104−2
 《特集》東大阪市の「乱脈同和行政」の一掃を求めて
 
 特別法が失効して10年がたってもいまだに東大阪市では「乱脈同和」の実態が残されています。民権連は、「特別対策」の廃止と一般施策の向上を求めて79項目からなる要求書を東大阪市に提出しました。
 2013年1月22日   東大阪市長 野田義和 様  教育長 西村 保 様
 市民のくらしと営業を守り、住みよいまちづくりを求める要求書
    民主主義と人権を守る府民連合  執行委員長   谷口 正暁
                   長瀬支部 支部長 森本 啓樹

 市民生活の向上のために日々ご尽力いただいていることに敬意を表します。
 中小企業のまち東大阪市は全国的な不況の影響を受け、経済格差の拡大、生活不安など市民生活と地域経済は深刻な状況におかれています。市政の推進にあたっては何よりも、こうした市民生活と地域経済の実態をどう受け止め、改善のためにどのように努力していくかが東大阪市に問われています。
 しかし市政の現状は、「行財政改革の更なる推進」が強調され、民営化の促進、嘱託・派遣職員の増員などによる市民サービスの切り捨てなど、行政として必要な機能を維持することさえ困難な事態に陥ろうとしています。市民生活と地域経済が困難な時だからこそ、「住民福祉の増進」の立場で、子ども医療費助成制度の拡充や中小企業支援など実効ある施策を具体化していただきますよう要望いたします。
 また、大震災の教訓から東大阪市民の財産と安全を守るための取り組みも大切になっています。市民の避難所となる学校など公共施設の耐震化促進、避難支援ガイドラインや災害用マニュアルの作成と支援体制づくりなど、これら一刻の猶予も許されない緊急の課題として施策の推進を要望いたします。
 さらに「同和問題」への対応に関わってです。02年国の特別法が失効し、残された課題は一般施策で対応することとなりました。そしてこの10年間、府下自治体において一般施策を活用して残された課題解決への取り組みが進められてきました。
 ところが残念ながら東大阪市では、今日もなお市政各分野で「特別対策」が実施されています。私たちは一日も早く「特別対策」を廃止し、そこで使われている予算を市民生活向上のために役立てることこそ、市民の理解と協力を広げ、「部落問題の解決」へと繋がっていくものと確信するものです。
 以上の立場から要求書を提出いたします。要求書の趣旨をご理解いただき誠意ある対応をよろしくお願いいたします。  3ページへつづく

104−3
  記
*人権文化部  〜「同和」のムダ遣いをやめて、市民施策に役立てること〜
1、長瀬地域まちづくり基本構想を策定すること。
2、同和未利用地を売却すること。
3、隣保館事業を廃止すること。
4、同和更正資金貸付金の滞納をなくすこと。
5、東大阪市人権環境基金(1億円)を廃止し、市民施策の充実にあてること。
6、大阪人権博物館負担金(3万円)を廃止すること。
7、大阪人権行政協議会負担金(1万8千円)を廃止すること。
8、同和問題解決・人権施策確立要求東大阪実行委員会補助金(8万5千円)を廃止する こと。
9、総合相談事業を廃止すること。
10、公的施設の警備・清掃業務の縮減、見直しを図ること。
*建設局 〜市内全体を目配りしたすみよいまちづくりを〜
1、市内全体を目配りした市営住宅の建て替え計画を立てるとともに、空き家の改修を進 め募集戸数を増やすこと。
2、昭和20年〜30年代に建設された木造市営住宅の建て替え計画を明らかにすること。
3、長瀬A号棟建設が迫っていますが、住み替え入居者優先となっています。公募による 入居もおこなうよう見直すこと。
4、長瀬・荒本市営住宅家賃滞納を一掃すること。住宅入居は一般に公募し、「入居委員 会」などが審査するのではなく、公営住宅と同じ基準で「一般抽選」入居をおこなうこ と。住宅困窮度評定における校区を限定した優遇措置はやめること。
5、本来の役割を終えた長瀬・荒本の仮設住宅については撤去すること。
6、住民の高齢化もあり住宅集会所の利用が場所により偏っています。調査し住宅集会所 の統廃合をはかること。その際、バリアフリー化をおこなうこと。
7、住宅併設の店舗の長期滞納や不法入居を改めること。
8、荒本・長瀬市営住宅の特別な管理形態を改めること。
9、住宅老朽化による、壁面のひび割れや汚れ、道路舗装のひび割れ、欠落、陥没、段差 が目立ちます。調査し計画的に壁の塗り直しや道路補修をおこなうこと。
10、住宅敷地内に設置されている「東大阪市蛇草地区同和事業促進協議会」名掲示板を市 の責任で撤去すること。

*子どもすこやか部  〜乳幼児施策の充実を〜
1、希望するすべての子どもが入れるだけの保育所の定数確保のため、新年度以降の待機 児童解消計画をもち、公立・私立とも施設の増設をおこなうこと。
  4ページへつづく

104−4
2、保育に責任を持てる体制にするため、クラス担任に複数の正規職員を配置するととも に、障がい児加配も正規職員で配置できるよう、早急に保育士を採用すること。
3、すべての公立保育所で完全給食を実施すること。
4、保育料の値下げを実施し、所得に応じた保育料にするため、階層区分を細分化するこ と。
5、子どもの医療費助成制度は、通院分も対象として「中学校卒業まで」の早期拡充をは かること。
6、荒本・長瀬子育て支援センターの「皆保育」方針を改め、他の公立保育所と同じ入所 制度にすること。
7、大阪保育子育て人権研究集会補助金(10万円)を廃止すること。

*経済部 〜深刻な不況から中小企業の経営とくらしを守ること〜
1、「ものづくりのまち・東大阪」にふさわしい実行力と強制力もある「中小企業振興基 本条例」制定にとりくむこと。制定にあたっては、企業者、市民の意見を反映させるこ と。
2、住宅リフォーム助成制度の創設や、太陽光発電施設の設置補助制度の拡充で地元工務 店、業者、電気屋さんへ仕事がまわるような仕組みを作ること。 
3、市内の高校、大学の新卒者を積極的に市内企業で就職できるよう支援すること。
4、労働者の雇用と権利を守る立場での「労働者相談」や雇用相談を強化し、労働組合な どがおこなっている相談事業へ補助をおこなうこと。
5、公共事業によって低賃金のワーキングプアを作り出すことのないよう、「公契約条例」 を制定すること。
6、雇用開発センターの早期廃止と、異常に高額な清掃・警備業務委託を改めること。
7、市営産業施設や商業施設の長期滞納や不法入居を改めること。

*環境部  〜きれいなまちづくりをすすめるため住民の声に耳をかたむける場を〜
1、ゴミの分別、資源化をさらにすすめ、きれいなまちづくりを推進すること。
2、電気製品やペンキの空き缶などの粗大ごみが街路に放置しているのをよく見かけます。 不法投棄の取締りを強化すること。
3、生ゴミ収集日にカラスや猫がゴミを散らかして困ります。カラスや猫対策の手立てを 講じること。
4、蛇草公園、蛇草西公園の除草や維持補修をすすめること。
5、放置自動車や違法自動車を撤去すること。長瀬地域道路上の柵を早急に撤去すること。
6、市営住宅20号棟から長瀬診療所間のJR大阪東線沿い道路に街灯を設置すること。
7、美化推進室分室を廃止すること。

*総合病院・健康部 〜市民の命と健康を守る対策を強めること〜
1、中河内救命救急センターの運営を、引き続き府が責任を持っておこなうよう要望する こと。
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104−5
2、市立総合病院の医師、看護師、技師確保に特別なとりくみをおこない、診療科の充実 をはかること。
3、夜間、休日の救急体制確保、産科医療体制充実へ地域の医療機関と連携したとりくみ を強めること。
4、荒本、長瀬両診療所への多額の運営貸付金について、直ちに返還を求め市民サービス の充実に充当すること。
5、市営長瀬斎場の煙突を撤去するなど改修すること。 
6、特別扱いで利用が少ない荒本斎場は廃止すること。

*市民生活部、福祉部  〜市民福祉と医療・介護の向上を〜
1、国保料金の引き下げをおこない、減免制度と一部負担金免除制度を拡充すること。
2、「医療にかかる権利」を阻害する資格証明書の発行をやめること。また、医療が必要 な被保険者には、無条件で保険給付をおこなうこと。
3、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの接種補助を創設すること。
4、後期高齢者医療制度の廃止を国に求めるとともに、現行制度のもとでも負担を軽減さ せる手立てを講じること。
5、介護保険料の引き下げをおこなうこと。
6、憲法25条と生活保護法に基づき、生活保護行政をすすめること。
7、蛇草消費生協に対する設備資金貸付金の返還を求めること。

*上下水道局  〜市民に安心して飲める水の提供を〜
1、水道の配水・給水における老朽管の改善、耐震化を急ぐこと。
2、上下水道料金の減免制度を充実すること。生活保護世帯への上下水道料金の減免制度 を復活すること。

*教育委員会
  学校教育 〜教育環境の整備をはかられたい〜 
1、30人学級を小中全学年で実施するよう、府、国に強く求めること。また、東大阪市 独自のとりくみとして来年度から小学校3年生、中学校1年生にも少人数学級を実施す ること。
2、就学援助制度について、所得基準の引き上げをはかるなど、希望する全ての世帯が受 けられるものにすること。臨海・林間学舎費に宿泊代を加算するなど支給対象と支給額 の拡充をおこなうこと。
3、学校2期制は、これまでの経過を検証し、3学期制にもどすこと。
4、教科書選定にあたっては、選定過程も含めて情報公開を貫くこと。
5、小中学校校舎の耐震化を計画に基づき促進するとともに、工事にあたっては学校生活 に影響が出ないようにすること。
6、子どもが使う全ての教室にエアコンを設置すること。

 6ページへつづく

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7、老朽化した学校施設の補修については、必要な予算を確保し実施すること。学校トイ レの改修は、早急にすすめること。
8、学校給食費の値上げはおこなわないこと。給食調理の民間委託はやめ、食の安全の立 場からも、調理業務の直営を堅持すること。
9、中学校給食を早期に実施すること。その際、食育の上でも優れた自校方式を基本にお いて実施すること。
10、人権教育読本「にんげん」の使用と「心のノート」の使用押しつけはやめること。
11、学校教育で「部落問題学習」をやめること。
12、教職員配置の同和優遇をやめること。
13、東大阪市人権教育基本方針(平成15年3月20日)を廃止すること。
14、人権教育関係団体補助金(204万円)を廃止すること。
15、人権教育研究集会開催経費(90万円)を廃止すること。
16、人権教育推進地域事業(93万円)を廃止すること。
17、「日の丸」「君が代」の強制しないこと。

 社会教育 〜特別扱いをやめること〜
1、学童保育の「地域運営委員会方式」から、市が直接責任を持つ方式にあらためること。 それまでの間でも、国が出したガイドラインに沿った運営ができるよう指導し、「生活 の場」にふさわしい施設にすること。
2、学童保育指導員が専門性を発揮できるよう、現在の有償ボランティアから、市が責任 を負う雇用形態にあらためること。
3、地域の子ども会に対する活動費補助制度を創設し、子ども会活動の活性化を市として 支援すること。
4、青少年センターなど公共施設での過剰な予算、職員配置を抜本的に見直し、公平な運 営をこなうこと。
5、青少年運動広場を、市民誰もが使える条例に変更すること。
6、長瀬青少年センター事業の「トンボクラブ」を廃止すること。また、「はぐさ解放子 ども会」にセンター使用をさせないこと。
7ページへつづく

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 写真


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 全国人権連
  人権・同和問題セミナー

 1月24〜26日全国人権連は東京で、人権・同和問題セミナー、政府交渉、常任幹事会をおこないました。24日の人権・同和問題セミナーでは、記念講演「ジャーナリズムの脆弱化と『週刊朝日』橋下報道をめぐる諸問題」(立教大学 服部孝章教授)、特別報告「橋下大阪府・市政(人権・同和行政)の現状と課題」(大阪民権連 谷口正暁)の2本の報告がおこなわれました。
 服部教授は、日本におけるジャーナリズム衰退の現状を指摘し、橋下氏の対メディア「戦略」について週刊文春・週刊新潮・週刊朝日報道の問題点を解明しました。
 谷口報告は、桜宮高校体罰問題にみられる橋下氏の言動、その下敷きとみられる「解放教育」と橋下「教育改革」、「同和問題」についての橋下氏の認識、橋下流「同和・人権行政」の特徴と問題点について報告しました。
 25日は各府県の代表が、農林省・国交省・経産省・法務省・文科省・外務省・厚労省に分かれて交渉をおこないました。
 26日の常任幹事会では政府交渉のまとめ、10月12〜13日北九州市で開催する全国研究集会成功にむけての確認等がおこなわれました。

 人間の良心を踏みにじる
大阪市「職員アンケート調査」
   公正判決求める要請署名に協力を

 橋下徹市長が2012年2月9日に実施した「労使関係に関する職員アンケート調査」は、職員に「組合加入の有無」や「組合に誘った人の名前」、「街頭演説会への参加」や「投票活動」まで回答させ、他の職員の政治・組合活動の告発まで迫るというものでした。これは「思想調査」…。職員はこのアンケートにどう答えるか悩み、苦しみました。そして55人の職員がこの精神的苦痛への賠償を大阪市長に求めて裁判をおこしたのです。

 (原告のお話から)
 「お母さん、このアンケートですごく悩んでるんや。みんなの意見を聞かせて」
 上の子は言った。
 「自分やったら『クビ』て言われたら悩むし、たぶん書くと思うわ」
 下の子に聞かれた。「お母さんはどうしたいん?」
 そして悩む私に「お母さんのやりたいようにしたらいい。お母さんの気持ちが一番大事 やろ」この一言がわたしの背中を押した。

 原告団事務局長 川本正一さん
 市長ではなく市民に向いて仕事をしたい 

 「ぼくら最初に『憲法守ります』と宣誓したんや。こんな憲法違反のアンケートには答えへんわ」と言ってくれる人もいました。この話を聞いて、こんな人たちと一緒になって、アカンことはアカンと言える職場、市長ではなく、市民の方をむいて仕事ができる環境づくりのために頑張らんとアカンと思いました。